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本のヒットメーカーが明かす「時代に響く本のつくり方」 経堂大学で登壇

1月に出版した「超限戦」を手にする菊地悟さん

1月に出版した「超限戦」を手にする菊地悟さん

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 経堂の飲食店を会場にビジネスやカルチャーを学ぶ場をつくる「経堂大学」が2月28日、経堂駅北口の「さばのゆ」(世田谷区経堂2)にKADOKAWAの角川新書編集長、菊地悟さんを迎え、「時代に響く本のつくり方」をテーマに開催された。

「超限戦」書影

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 菊地さんは、11万部売れたプロサッカー選手・遠藤保仁さんの「信頼する力」のほか、同じくプロサッカー選手・長友佑都さんの「上昇思考」、松岡修造さんの「挫折を愛する」、医師の小林弘幸さんの「自律神経を整える『あきらめる』健康法」、漫画家・田中圭一さんの「うつヌケ」、タレント・蛭子能収さんの「ひとりぼっちを笑うな」など、単行本や新書のヒット作を仕掛けた編集者。この日は、一冊一冊を例に取り上げ、世の中の流れをどう読んだか、企画が実現するまでの経緯、出版のタイミング、プロモーションの開始からブームが起きるまでの準備と心構えなどを具体的に紹介した。

 菊地さんは「売れるかどうかは、紙にインクを載せたプロダクトである本という作品であっても、世の中の動きにうまく接続できるかどうかに懸かっている。本が売れないと言われるが、出版業界は圧倒的な多品種少量生産が特徴でもあり、増売の余地という点ではまだまだ可能性がある」と、編集者という職業の醍醐味(だいごみ)を話す。

 参加者の一人は「冒頭にマーケットインという用語が出てきたので、よくあるマーケティングの話かと思ったが、内容が深いのに驚いた。常に情報を収集し、感覚を研ぎ澄ませながら世の中の動きを見定めて『ここ!』というタイミングで本を投入するエピソードに感銘を受けた。売り上げデータに固執してはいけないというのも目からうろこ。異業種だが、ためになる話が聞けた」と振り返る。

 後半は、1月に出版された角川新書の新刊「超限戦」の話に。1999年、中国の現役軍人だった喬良と王湘穂が出版した同書は、新しい戦争の形を説明した戦略研究書。2001年12月に他社から日本版が出たが、「9.11同時多発テロを予言した本」として評価を高め、古書価格3万円を超えるレア本となっていたのを角川新書の一冊として復刊した。  

 「日本人にとって、今は中国という国家のプレゼンスがかつてないほど大きくなっている時代。このタイミングに、元の単行本に一部加筆修正を加え、オビコピーなどパッケージも工夫した。発売から2か月弱の現時点で四刷に達している」とも。

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