
八幡山の「大宅壮一文庫」(世田谷区八幡山3)で7月7日、「1000冊のanan展」が始まった。
同展では、「anan」創刊号(1970年3月20日号)から1000号(1995年12月22日号)までが読み放題となる。通常、閲覧冊数に制限があり冊数に応じて料金がかかるが、会期中、「anan」については追加料金なしで自由に閲覧できる。
7月12日にはananなどの編集長を歴任した富川淳子さんによる講演会「元雑誌編集長が語る 日本の女性の背中を押した『anan』」が行われた。創刊当時の女性の高学歴化やOLの増加といった社会情勢の変化の中で同誌が果たした役割などを語った。定員40人は早々に埋まり、幅広い世代の男女が富川さんの話に聞き入った。
富川さんは「先行して発刊されていた『主婦と生活』などの婦人誌や『女性自身』などの女性週刊誌、『装苑』などの服飾誌がある中で、『anan』は衝撃を持って迎えられた。ただ、創刊当時は返本率も40%と高く、内容が斬新な分、売れるようになるまでには時間がかかった」と、短期的な売れ行きに左右されず出版し続けた側の思いを語った。
近隣在住で講演会に参加した男性は「創刊当時はまだ生まれていないが、どのような社会の変化の中で『anan』が生まれたのかが、とてもよく分かった。雑誌はその時の社会を分かりやすく象徴しているものかもしれないとも思った。今回初めて大宅文庫に来たが、とてもユニークな図書館で、1000冊あるananは興味のある特集だけでも1回ではとても読み切れない。会期中に、ぜひまた来たい」と話していた。
大宅壮一文庫は日本初の雑誌図書館。評論家・大宅壮一の雑誌コレクションを引き継いで、1971(昭和46)年に開館した。明治時代以降150年余りの雑誌を所蔵している。雑誌記事索引データベースを作成しており、主な所蔵雑誌の記事を検索することができる。雑誌原本の閲覧や複写もできる。
開館時間は11時~18時(最終受付は17時)。日曜・祝日休館。入館料500円(65歳以上は250円)。8月30日まで。