経堂すずらん通り商店街の入り口から徒歩1分ほどの場所にある「鮨処なり田」(世田谷区宮坂3、TEL 03-3426-8131)が「江戸前握りずし」のテークアウトを始めて1カ月半がたった。
同店は銀座で20数年の経験を積んだ成田圭一郎さんが1996(平成8)年に創業。江戸前ずしの技術を生かし、冷凍物、養殖物を一切使わない、安全な食材の使用をモットーに営業を続けてきた。
成田さんは「新型コロナウイルスの影響で2月からお客さまの数が減り始め、3月から激減した。外出を自粛して自宅にいるケースが多いと感じたが、複数のお客さまから『本当は店に行きたいが会社から自宅待機を命じられている。でも、うちのすしを食べたい』という相談があり、クリアすべきハードルはあると思ったがテークアウトを始めることにした」と経緯を話す。
「握りたてをおいしく召し上がってほしい」と願う成田さんは、テークアウトの仕組みを次のように考えた。それは、予約は前日に受け付け、受け渡しは店舗営業開始の直前に行うというものだった。
「豊洲での仕入れ、シャリも含めた仕込みも手間暇がかかる。そして、やはり握りたてを召し上がってほしい」
同店に夫婦で通う40代の女性は「自宅待機の日々が続き気持ちが落ち込みがち。なので「なり田」さんのすしがテークアウトできると聞き、前日に予約注文して食べた時はうれしくなった。地元で食べられる銀座一流店の味。やはりおいしいものの力はすごい。取りに行った時に、私が好きな会津地方の言葉で『わざわざ遠いのに歩いて来てくれてありがとう』と言って、サービスのいなりずしを付けてくれた。こうした温かい個人店は街にないといけない。早くまたカウンターでおなかいっぱいすしが食べられる日が来てほしい」
メニューは「江戸前握りずし」(1人前3,000円~)。テークアウト予約は電話で前日15時~22時に受け付ける。受け渡しは17時~18時。
緊急事態宣言発令中の店舗営業時間は18時~20時(酒類の提供は19時まで)。木曜定休。マスク着用、アルコール除菌などを徹底し、ドアを開け換気しながら営業している。