書家の田坂州代(くによ)さんが1月10日、経堂駅北口のイベント酒場「さばのゆ」(世田谷区経堂2)からオンラインイベントを開いた。
鑑賞用作品や映画、書籍の題字、商品ロゴなどを手掛ける田坂さんだが、昨年8月1日、コロナ禍の気分転換に「誰もが自宅で文字を美しく書く練習ができるように」とユーチューブに「お筆ちゃんねる」を開設。「お筆ちゃん」というキャラに扮(ふん)して書き方のコツを教える動画を、これまでに100本以上公開している。
田坂さんは「パソコンやスマホで簡単に文字が打てる現代でも手書きの必要にせまられる場面は意外と多い。『経堂』をはじめ、年賀状に使う日本各地の地名や学校の提出書類の頻出語句など、誰もが日常よく使う文字を取り上げている。年末年始は、『謹賀新年』『迎春』『あけましておめでとうございます』などをペン字、毛筆(きちんと)、毛筆(ポップ)の3パターンの書き分けが役に立ったとの声を頂いた」と話す。
「書道は墨の香りに癒やされるだけでなく、書いている時間は無心になれる。こういう時代だからこそ、メールなどのデジタルではなく、ぬくもりのある手書きで思いを伝えることが価値となる。書道は相手の心に印象を刻みつけるシンプルで最強の味方」とも。
同チャンネルでは、ひらがなや漢数字や落語の「寿限無」の書き方なども公開している。今後、全国の地名についてもラインアップを増やす予定だという。