経堂・すずらん通りのダイニングバー「太田尻家」(世田谷区宮坂3)が7月15日、雑誌「読む肴(さかな)」を出版した。店の常連客15人が書いたエッセー、ノンフィクション、小説、漫画、その他ノンジャンルのストーリーを集めた冊子で、一昨年8月に出た2号に続く3号目。
4月で17周年を迎えた同店は、店主で元造形職人の田尻輝幸さんが手作りしたもの。店内に、作家で妻の太田智子さん作の立体オブジェやイラストなどがあり、コロナ以前は若い世代のアート好きが集まることで知られた。
7月12日に始まった緊急事態宣言下の現在、営業を休止している。
田尻さんは「女性の一人客でも安心して飲み食いできる店が理想で、大声、絡み酒、説教癖などの人を断っていると若い世代が集まってきた。楽しいお客さんたちが多く、この人たちに原稿を頼んだら面白いものができると思いつき続けてきた。コロナで思うように集まれないが、この時期だから書ける面白いこともあるだろうと呼び掛けて作ることにした」と出版の経緯を話す。
「タイトルの『読む肴』は、飲みながら読むのに適した1000字程度の読み物が詰まっている。外飲みのできない今は家飲みがメインだが、酒の肴として読んでもらえれば」とも。
「読む肴」は1部500円。同店をはじめ、ハルカゼ舎、stock(以上、経堂2)、ロバの本屋(山口県長門市)、食堂とカフェ オッセ(三重県伊勢市)などで販売している。