編集者で著述家の石黒謙吾さんが企画・構成・プロデュースを手掛け、6月30日に発売された最新刊「昭和レコード超画文報1000枚~ジャケット愛(め)でて、濃いネタ読んで~」(303BOOKS)の出版記念オンライン配信トークイベントが7月20日、経堂駅北口の「さばのゆ」(世田谷区経堂2)で、著者の放送作家、チャッピー加藤さんを招き、無観客で行われた。
「昭和レコード超画文報1000枚~ジャケット愛(め)でて、濃いネタ読んで~」(303BOOKS)の書影
同書は、ニッポン放送などのラジオ番組の制作現場で、歌手、作詞家、作曲家、音楽プロデューサー、音楽ディレクターなど多数の業界関係者の証言を長年取材してきた加藤さんが、自宅に5000枚のコレクションがある昭和歌謡のドーナツ盤レコードから1000枚をセレクト。それぞれの写真に歌手や演奏家のプロフィール、歌詞や楽曲が生まれた背景、ジャケットデザインの絵解き、当時の社会情勢など、楽曲にまつわるエピソードが添えられている。
石黒さんは「チャッピーさんが、ドーナツ盤のコレクションを5000枚持っていて、途方もない知識量があると昔から知っていたが、この1月13日、元キャンディーズの伊藤蘭さんの誕生日にチャッピーさんのフェイスブックコメント見ていたら、ヒデとロザンナについて、かなり貴重な話を書いていたのを読んで『これは本を作らないと』とひらめいた。ジャケットを見るのが好きなので『1000枚入れよう』と無謀なことを思いつき、その場ですぐチャッピーさんに打診したら、『やりますよ』と返事を頂いた。そのまま企画メモを5行ほど書いて、版元の303BOOKS社長の常松さんにLINEで伝えてほぼ決まり。企画決定まで1日だった。表紙の金箔(きんぱく)も効果的で、大満足の一冊に仕上がった」と出版までの経緯を話す。
加藤さんは「放送作家をやっていると、曲にまつわる秘話を作詞家・作曲家や歌手本人から直接伺えたりする。取材の成果は番組で披露されるが、放送は流れたらそれで終わり。もったいないなと。これまで耳にした貴重な話を、後世に残る形できちんとまとめたいと思っていたところへ、石黒さんから話を頂き、二つ返事で引き受けた。1000枚を選ぶのも、解説を書くのも、想像の1000倍大変だったが、何とか書き上げることができたのは、やっぱり好きだから。レコード一枚には、曲の作り手や歌手、スタッフの愛が詰まっている。この本をきっかけに、レコードで往年の歌謡曲を聴いてみよう、と思っていただけたらうれしい」と話す。
石黒さんは、東日本大震災の津波で壊滅した東北の缶詰工場の復興を経堂の商店街の人々が支えたノンフィクション「蘇るサバ缶」(須田泰成著、廣済堂出版)や、「経堂こども将棋教室」の10年間をまとめた「こどもをぐんぐん伸ばす『将棋思考』」(高野秀行著、ワニプラス)など、経堂に関係の深い本を手掛けてきた。
価格は1,650円。