東京農業大学(世田谷区桜丘1)客員研究員の玄成秀(げん・せいしゅう)さんが国内酒造メーカーの缶入り日本酒4本をセットを梱包するギフトボックスを開発した。
2020年2月、同大大学院生だった玄さんは、日本の生産者とグローバルな消費者をつなぐことをテーマに「Agnavi」を設立し社長に就任した。しかし、起業して間もなくコロナ禍となり、母校・東京農大関係の酒造メーカーが苦境に陥る状況に直面。それをきっかけに、日本酒の品質劣化の主な原因である紫外線をカットでき、賞味期限が長い、180ミリリットルの缶入り日本酒「Ichi-Go-Can(いちごうかん)」をメーカーの協力を得て開発した。
1月25日には、東洋製罐グループホールディングス(東京都品川区)を引受先とする第三者割当増資により、シードラウンドで総額3,000万円の資金調達を実施。この資本・業務提携を通じて、缶入り日本酒を充填(じゅうてん)する基盤の構築と生産強化を本格化する。
玄さんは「コロナも大変だが、それ以前から日本酒の消費量は減り続け、過去45年間で77%減となっている。缶の特性を生かして品質劣化を抑えられる缶入り日本酒がソリューションになると考えている。現在、22蔵元の酒造メーカーとのコラボが実現しているが、この先、まずは100、さらに増やしたい。今回、開発したギフトボックスは、軽くカジュアルで、毎月、このボックスに入った缶入り日本酒が届く仕組みも作っている。アウトドアなどにも良いと思うので、若い世代を中心に日本酒をもっと飲んでほしい」と話す。
「軽くて強度があり、容積が小さくなる缶は、瓶に比べて輸送コストが安いため、海外への輸出も始めている。廃業する酒造メーカーが少なくない。新しい動きを作りたい」とも。
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