下高井戸駅前の公園通りに、アルコール類のテイスティングスタンドを備えた酒販店「籠屋下高井戸店」(世田谷区赤堤4)がオープンして2カ月がたった。同店は狛江にある1902(明治35)年創業の老舗「籠屋」による初めての支店で、各地から取り寄せた日本酒、焼酎を豊富に取りそろえ、自社ブルワリー製ビールなどを店内で飲むことができる。
同店の立ち上げに関わった横山太一さんは「日本酒や焼酎を一般の人に少しでも身近に感じてもらい、話題にもしてほしい。一家に1本の地酒を置いてもらえるようにするのが目標」と話す。
籠屋の本店は、1990年代から各地の意欲的な酒蔵とのネットワークを築き、さまざまな銘酒を扱い、地酒の魅力を飲食店主などに伝えてきた。しかし、コロナ禍に日本酒需要の減少に直面した際、「地酒ファンを掘り起こし、興味のある人たちを引き付けるような店を開くべきでは」という議論が社内で起こり、支店を出す方針が決まったという。下高井戸の商店街に街の酒屋ができるのは6年ぶりとなる。
店内では地酒やビールのほかに、酒に合う惣菜、地酒に関する書籍、グラス類、ビールや炭酸飲料を持ち運べるグラウラーボトルなどを販売。各地の日本酒や焼酎は、一般的な家庭の冷蔵庫や棚に収まるよう、1升瓶ではなく720ミリリットル瓶を中心にそろえている。2017(平成29)年に設立した籠屋ブルワリーで醸造したクラフトビールもあり、グラウラーボトルに詰めて持ち帰ることもできる。
店の奥には、実際に地酒やビールを味わいながら情報交換ができるテイスティングスタンドも設け、日替わりで日本酒や焼酎、クラフトビールをセレクトする。
高柳周平店長は「予想以上に若い方が来てくれる。それがうれしいし励みになる。各地の酒蔵にはそれぞれの物語があり、水質や土壌、環境が変われば、できる酒の味も変わる。地酒が売れるかどうかで、地域の農家や農業のあり方にも影響が出る。銘柄ごとの味のバリエーションと共に、造り手や酒蔵の情報なども伝え、お客さまと一緒になって地酒文化を育てていきたい」と意欲を見せる。
「本店ホームページや下高井戸店インスタグラムなどで地酒情報を発信している。気になることがあれば、遠慮なく店頭で尋ねてほしい。店を、そうしたコミュニケーションの場にしていきたい」とも。
営業時間は13時~21時(土曜・日曜は11時~)。月曜・火曜定休。東京都による短縮営業要請中は、アルコールの提供は20時まで。マスク着用、アルコール除菌、咳(せき)エチケットなどを徹底し、こまめに換気しながら営業。ビールのテークアウトにも対応する。