経堂農大通りの創作料理バル「マホラ食堂」(世田谷区経堂1、TEL 03-6875-9295)店長の鵜沼ユカさんが5月8日、同店2階スペースでダンスを中心としたパフォーマンス作品「ラビダビ」を上演した。
鵜沼さんは共同で同店を経営する夫の内田龍さんと学生時代から演劇活動を行う役者夫婦。飲食業の傍らCMやナレーションの仕事も引き受け、演劇関係者の利用も多く、アルバイトスタッフに若い演劇人を雇ってきた。
鵜沼さんは「今年の5月8日は40歳の誕生日。4年前にマホラ食堂を開き、長男と次男を出産して、店と子育てに翻弄(ほんろう)される毎日だった。20歳から15年ほど表現活動を続けてきたが、店と育児とコロナもあり、気がつけば遠ざかっていた。店も子どもも大好きだが、やっぱり寂しい、何かやりたい気持ちが心の中で育っていた。どこかの劇場で数日間公演をするのは困難だが、ソロ作品を自分の店で発表できると気づき、40歳の節目に踊りたいと思い立った。10年来の付き合いで、友人でもある演出家うえもとしほさんに作・演出をお願いし、『ラビダビ』という作品を作ってもらった」と経緯を話す。
上演は同日、15時から第一回本番、17時から第二回本番が行われ、鵜沼さんの演劇仲間や同店の顧客などが観客として集まった。
「作・演出のうえもとしほさんと作品を練り始めた時、彼女から林芙美子の『花の命は短くて苦しきことのみ多かりき』という詩をスペイン語にした『La vida de una flor es corta.Hay muchas cosasdolorosas.』をせりふとして発してほしいと言われた。タイトルの『ラビダビ』は、スペイン語で『生活、人生』を意味する『La vida』から名付けたもの。2度の出産で筋肉がかなり落ちていたが、ランチ営業とディナー営業、そして育児もしながら、全9回の稽古、会場セット、ゲネプロ、1回目本番、2回目本番という過酷なスケジュールをこなせるまでに回復した。今回やってみて、どんなに無理そうなことでも頑張ればどうにかできるという、とてもシンプルな事を実感した。その際、大事なのはやりたいという自発的な意志。とにかく、やって良かった」と振り返る。
マホラ食堂では今後、2階スペースを小規模の演劇や朗読などのパフォーマンスイベントで使用したい人の相談にも応じる。
飲食の営業時間は、昼=12時~14時、夜=18時~23時30分。水曜定休。マスク着用、アルコール除菌などを徹底し、こまめに換気して3密を避けて営業している。