経堂に拠点を置く著述家・編集者、岡部敬史さんの最新刊「目でみる方言」(東京書籍)の出版記念イベントが3月22日、経堂駅北口の「さばのゆ」(世田谷区経堂2)で行われた。
岡部さんは写真家の山出高士さんと2013(平成25)年、「目でみる」をテーマとする書籍シリーズの出版を開始。現在までに15巻を刊行。今年はシリーズ開始から10年となる。
「目でみる方言」は「北海道・東北・関東」「北陸・東海甲信・近畿」「中国・四国・九州・沖縄」の3章から成り、埼玉県である水生動物を意味する「マッカチン」、宮城県で暮らしの中の水回りで使われる「うるかす」、島根県である掃除用具を意味する「ばりん」など47都道府県の特徴的な方言を写真とともに説明。各地の生活に根ざした方言のコラムにも、言葉が使われるシチュエーションの写真を添える。
当日は、岡部さんが本の内容のダイジェストや取材時のこぼれ話などのトークを披露した。「削りたての先のとがった鉛筆を例に取っても、ときんときん、ぴんぴん、つくつく、けんけん、ちょんちょんなど、各地で異なり面白い。現代は、表面的には、いわゆる標準語が全国を覆い尽くしたかに見えるが、実は、各地の生活文化も方言とともに豊かに息づいている。方言は、どんな地域の人たちも主役になれる言語」と岡部さん。
「集まってくれた参加者が、東北、関東、中部、東海、関西、山陰、四国など全国各地の出身者だったのも面白かった。トークの後に皆さんのお国言葉の比較トークで盛り上がり、学びと笑いの絶えないすてきな時間となった。方言は私たちの暮らしを豊かにしてくれると実感した。この本を通じて、方言に関心を持つ人が増えてくれれば」とも。
価格は1,430円。