ブレッドジャーナリスト・清水美穂子さんの新刊「月の本棚 under the new moon」の出版記念トークイベントが6月9日、経堂駅北口のイベント酒場「さばのゆ」(世田谷区経堂2)で行われた。
フレンチスタイルのパン店「Le Petitmec」(東京都千代田区)のオウンドメディアに連載された東西の文芸作品に関するエッセーに加筆して、58本をまとめた同書の発行元は、文芸書、詩集、現代思想、食文化、アート本などを手がける国分寺市のマイクロ出版社「書肆梓(しょしあずさ)」。イベントは、詩人でもある同社社長の小山伸二さんが司会を務めた。
小山さんは「ひとり出版社として、主に詩集を中心に出版活動をしてきたが、2018(平成30)年に出版した清水さんの前著『月の本棚』をきっかけに、一般文芸書に手を広げることができた。特に、ブックレビューという形で、いろいろな本の世界に読者を誘うスタイルが、独立系書店の方々の支持も得て、今回、その続編へとつながった」と振り返る。
清水さんは「先が見えない不安の中で緊張している人だとか、人生の秋冬地点でため息をついている人に、ここで紹介したような美しい本を読んで、一休みしてもらえたら。月を眺めると私は、今ここに居ない人のことを思ったり、これまで流れてきて、これからも流れていく膨大な時間のことを考えて、果てしない気持ちになったりする。そんな気持ちになった本を紹介している。『読んでよし!』と力を入れるより、力を抜く感じになっていただければ」と話す。
当日は、辻調理師専門学校で食文化概論の講義を担当し、コーヒーの焙煎(ばいせん)工房を営む小山さんがいれたコーヒーの泡盛割り、コーヒーを使ったキーマカレーなども提供した。