経堂在住の棋士・高野秀行六段がオンラインによる将棋の対局指導を始めて1カ月がたった。
春風亭昇太さん司会のニッポン放送『ラジオビバリー昼ズ』出演時の高野秀行六段
日本将棋連盟六段の高野さんは1984(昭和59)年、中原誠十六世名人に入門し、1998(平成10)年にプロ棋士となった。次世代の育成に早くから関心を持ち、2008(平成20)年に「経堂こども将棋教室」を始め、地域密着をモットーに子どもたちへの指導を開始。その道のパイオニアとして、「こどもをぐんぐん伸ばす『将棋思考』」(ワニプラス)、「将棋の駒は なぜ歩が金になるの?」(少年写真新聞社)など子ども向けの著書もある。
高野さんは「将棋は勝負に敗れた側が『負けました』と言葉にして終わる世界でも珍しい競技。自分の負けを認めるのはつらいが、『続けることで心が強くなった』と、将棋教室に子どもを通わせた親御さんからたくさんの感謝の言葉をいただいている。今、新型コロナウイルスの影響で教室を休んでいるが、学校にも行かせられず悩む親御さんから相談を受け、オンラインでの指導を始めた」と経緯を話す。
希望者は、日本将棋連盟公式のインターネット将棋対局サイト「将棋倶楽部24」にPC・スマートフォン・タブレットでログインし、高野さんと対局する。並行してPC画面を通じてビデオ通話を行い、通常の教室と同じように顔を見合わせながら生徒の課題や戦局を解説。より良い将棋を指せるように教えるという。
「将棋のゲームソフトがすでに普及していたのでオンラインへのシフトがスムーズに行ったと思う。オンラインの対局指導は、正直リアルとは違うが、回を重ねる度に感じをつかんでいる。最近は、複数人を相手にする指導も増やしている」
高野さんは一般の将棋普及にも力を注ぎ、「将棋『初段になれるかな』会議」(扶桑社)などの著書やメディアへの登場機会も多い。今年2月4日に行われた藤井聡太七段の昇級を懸けた順位戦は「47歳おじさん棋士の挑戦」として「文春オンライン」などに取り上げられ、敗れたが、幅広い世代の共感を呼んだ。
「4月1日、春風亭昇太師匠のニッポン放送『ラジオビバリー昼ズ』に呼んでいただいた後も反響があった。私にできることは将棋で世の中に恩返しすること。子どもの頃に親しんだ将棋をもう一度してみたいという大人も増えている。オンラインの良いところは、時間と場所の制約なく対局指導ができること。全国の幅広い世代に教えたい。要望があれば、もちろん海外の人にも」
オンライン対局指導に関する問い合わせは「経堂こども将棋教室」公式ブログまで。