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大蔵で民家の解体イベント 跡地に人がつながる街をつくる

解体中の民家前。大工の水野力(ちから)さんと安藤勝信さん(右)

解体中の民家前。大工の水野力(ちから)さんと安藤勝信さん(右)

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 世田谷区大蔵にあるデイサービス施設「タガヤセ大蔵」に隣接する築50年の住宅の解体瓦おろしが3月15日、地域住人が参加して行われた。

解体中の建物内部をガイドする大工の水野力(ちから)さん

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 解体されたのは同デイサービス施設のオーナー安藤勝信さんの祖父が暮らしていた住宅で、屋根から一枚ずつ剥がされた瓦を、はしごを使い、地上へとバケツリレーの要領で運ぶ「瓦おろし」を集まった約40人が手伝った。

 安藤さんは「世の中は今、資本主義社会が成熟し便利になる一方、同じ地域に暮らしていたとしても、人と人がつながることが難しく、むしろ分断される傾向にある。しかし、そういう時代だからこそ、人に優しい社会、多様なつながりがあり助け合う地域を作っていきたい。昔は良かったという懐古主義でも、ただ便利なだけの未来でもない。どこか懐かしいような未来。そのためには小さなところから始めることが大切。住宅の解体は業者さんに頼めばすぐに終わるが、そうはせず、つながりのある人たちに来てもらい地域のイベントとして行った。この日だけでも、いろいろな人たちが知り合いになり、『いい経験ができた』と感謝の声も頂いた」と開催の経緯を話す。

 現場を指揮する大工の水野力(ちから)さんは建物内部をガイドして、参加者に建物からうかがい知る当時の大工の思いや解体の手順について説明。現場の傍らでは、経堂5丁目でコーヒー豆の焙煎(ばいせん)販売と飲食提供を行う「Day Drip Coffee(デイドリップコーヒー)」がハンドドリップでコーヒーを提供。マスクを着けた参加者たちがコーヒー片手に語り合う姿が見られた。

 「この跡地の活用は『これまでと、これからをつなぐ住まいを作る』をテーマにプロジェクト化する。計画では、子育てシェア長屋と下宿のおばちゃんのいる小屋型のシェアハウスを建築し、小さな街のようになる。かいわいの街の人たちにも協力してもらい、人がつながる温かい場所をつくりたい。人のつながりや流れの中で、ゆっくりと急がないペースで進めたい」とも。

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