東京農業大学(世田谷区桜丘1)客員研究員の玄成秀(げん・せいしゅう)さんが10月1日、国内10カ所の酒造メーカーの缶入り日本酒セットを全国に届けるプロジェクトを始めた。
2020年2月、同大大学院生だった玄さんは、日本の生産者とグローバルな消費者をつなぐことをテーマに「Agnavi」を設立。しかし、起業して間もなくコロナ禍となり、母校・東京農大関係の生産者が苦境に陥る状況に直面した。
「新型コロナウイルスの影響で飲食店の売り上げが低迷し、イベントも中止になり、日本酒の消費量が減った。日本国内の酒造関係者の5割以上が東京農大出身。多くの酒造メーカーの厳しい状況を見て何かできないかと考え、日本酒の品質劣化の大きな原因である紫外線を完全にカットでき、持ち運び簡単で賞味期限が長く、たるのままのような新鮮な状態で消費者に届けることができる180ミリリットルの缶入り日本酒の普及活動『Ichi-Go-Can(いちごうかん)』を始めた。東京農業大学や国内大手リース会社にも協力いただきクラウドファンディングを行い、全国56蔵元に対して、支援者数2563人、支援額2622万円の短期的なサポートなどを行った。3回目となる今回は優良銘柄の純米吟醸・純米大吟醸酒の飲み比べセット。冷蔵庫の場所を取らない缶入り日本酒のおいしさと気軽さをより多くの人に知ってほしい」と経緯を話す。
参加する酒造メーカーは、六花酒造(青森)、あさ開(岩手)、両盤酒造(岩手)、越後鶴亀(新潟)、白龍酒造(新潟)、島崎酒造(栃木)、松岡醸造(埼玉)、矢尾本店(埼玉)、岩波酒造(長野)、玉乃光(京都)。クラウドファンディングは「キャンプファイヤー」を利用する。
「今まで日本酒を飲まなかった人、飲んでみたかったけど一升瓶や四合瓶には手が出せなかった人が手に取るきっかけになればうれしい。日本酒のイメージを覆す飲みきりサイズ、おしゃれ、パーティーイベントやアウトドアなどの持ち運び便利を実現した1合缶で、若い世代にもカジュアルに飲んでほしいし、世界にも広めたい」とも。
クラウドファンディングは10月27日までを予定。