経堂駅北口にある家族経営の焼きとん酒場「きはち」(世田谷区経堂2、TEL 03-3429-8121)が11月5日、15周年を迎えた。
店主の八十島(やそしま)秀樹さんは浅草生まれ。10歳の時に実家が経堂4丁目に引っ越し、そこで開業した洋食店で育った。農大一高卒業後、飲食業界へ。30年以上経験を積んだ後、妻・恵理さん、息子・翔さんと一緒に同店を立ち上げた。
ドリンクは生ビール中(550円)、ホッピー(480円)、レモンサワー、緑茶割り(以上450円)のほか、日本酒、焼酎、国産ワインが500円台から。ソフトドリンクは、温州みかんジュース、山形県寒河江市のりんごジュースなど地方産の100%ジュース(280円)を用意。20代のころから東京農大醸造学科出身者の友人が多かった翔さんがセレクトする日本酒は、長野県の大雪渓をはじめ十数種類。「日本酒で迷ったら翔さんに聞け」が常連客の合い言葉になっているという。
フードの基本は翔さんが担当する炭火焼きの焼きとん。定番のシロ、ハツ、レバー、カシラなどが130円から。トマト豚バラ巻き、エノキ豚バラ巻き(以上210円)など、野菜を豚バラで巻いたメニュー、野菜串も季節ごとに変化。和牛や地鶏の仕入れも行い30種前後の串メニューがある。
秀樹さんは和洋中のつまみを仕込む。刺し身、煮付け、南蛮漬けなど魚介類は地元の老舗鮮魚店「魚真」から仕入れる。長芋のわさび漬け、沖縄産などヘルシーな野菜や海藻のメニューも。温かい〆メニューは鯨カレー缶を使ったカレーうどん、ホタテやカニカマを使った雑炊など。時にはフィリピンの煮込み料理アドボや台湾料理の魯肉飯(ルーローファン)、ロシアのボルシチなどが登場することもある。
恵理さんが70年代から生協での活動に関わっていたこともあり、全国各地の食材を仕入れる。山形県酒田市・平田牧場の「三元豚」、北海道十勝地方・青木ピッグファームの「とかち桃花豚」やJA十勝清水町の「十勝若牛」、鶏は兵庫県播磨地方の「はりま」、チクワは青森県青森市の「丸石沼田商店」、ニンニクは青森県田子町、ゴボウ、長芋は青森県五戸町、ショウガは高知県いの町「水田農園」の「かおり生姜」、キノコは長野県中野市から、野菜も高知県四万十町のピーマンや足立区産の江戸野菜・千住ネギなどを使い、全国の生産者とのつながりは幅広い。緑茶割に使われる有機栽培の茶葉は農大OBの常連の同級生が奈良の月ヶ瀬で営む「岩田健康茶園」のもの。
翔さんは「うちの店は家族で緩やかに営業しているせいか雰囲気がのんびり。最近、若い世代のお客さまが増えてうれしい。営業を続けながら全国とつながるのも楽しい。これからも各地の食材を使ったおいしい食べ物とお酒を出して、お客さまが幸せに過ごせるようにしたい」と15周年の思いを語る。
営業時間は18時~24時(日曜は16時~22時)。火曜と祝日の月曜は定休。