経堂駅北口のラーメン店「ウチデノコヅチ」が11月14日、3年半にわたった現店舗での営業を終え、経堂西通り商店会の新店舗への移転準備に入る。
店主の樋口直樹さんは福岡県八女市出身。ミュージシャンを目指して上京後、録音スタジオなど音楽施設の多い経堂に移り住む。さまざまな職業を転々とするうち飲食業に興味を持ち、経堂西通りの「ビストロ一平」(現在は閉店)でアルバイトし、2010(平成22)年、近くのイベント酒場「さばのゆ」で週2~3日、店舗内店舗「直樹らーめん」をスタート。「直樹らーめん」と平行して、世田谷区内のラーメン店「陸」で昼間のアルバイトを始め、1年後、店長になった。スープやチャーシューなどの仕込み、製麺機を使った麺打ち、大勢の客へのラーメンの提供と接客を経験。2020年2月に独立して開業準備に入った。
樋口さんは「店舗物件を契約して、これからという時にコロナ禍になった。4月、5月の非常事態宣言を終え、6月11日に開業したが、正直かなり辛い3年間だった。しかし、15年ほど通う経堂の飲み屋の人たちやカウンターで知り合った大勢のお客さま、新しく来てくださったお客さまたちに恵まれ、大家さんや家族の応援もあり、ここまでやって来られた。グルメサイトなどのいろいろなラーメンの賞を頂いたのも励みになった」と振り返る。
経堂西通りの新店舗とは、長年、経堂の飲み屋のカウンターで交流を深めた飲み仲間を通じて出合った。
「今の物件は、契約時に建て直すことが決まっていたが、創業後はコロナもあり必死で、あまり考える余裕がなかった。今年の初め頃にタイムリミットが迫っていると実感したが、やはり世話になった経堂の街で移転したいと思い、いろいろな人に相談するちに、経堂西通り商店会の『夢亀ラーメン』さんが健康上の理由で閉店を考えているという情報を、常連客で長年カウンターで一緒に飲んでいる飲食関係者から聞いた。そこで、『夢亀ラーメン』店主の吉田清継さんを紹介していただき、話し合った結果、移転することになった。やはり街のカウンターで生まれるご縁はありがたい」
新店舗の席数はカウンター10席。
「熊本出身の吉田さんの『夢亀ラーメン』の熊本ラーメンは実においしかった。本当なら、もっと長く街の人々に愛され続ける店だったと思う。話をさせていただく中で、吉田さんのお母さんが自分と同じ八女出身だと知ったこともあり、同じ空間を継ぐ以上は、それに恥じないラーメンを作らねば」とも。
新店舗での営業開始時期はSNSで知らせる。