
下高井戸を拠点として活動する「しもたかフィル」による全曲ドボルザーク作品を演奏する第20回記念公演が11月14日、「せたがやイーグレットホール」(世田谷区世田谷4)で開かれる。
指揮者兼主催者の東義直さんは「『しもたかフィル』の運営形態は一般的な市民オーケストラなどとは少し違う。職業音楽家を経験してきた私の『わがままオーケストラ』とも言える。曲目の選定には団員の意見も聞くが、決定は主催者であり、練習内容の決定も定期公演をはじめとする予定の段取り決定も主催者。これは、運営に携わらずに演奏に没頭できる環境を提供することが創設当時のコンセプトだったから」と話す。
東さんは「21年前、松沢小学校(赤堤4)のPTA会長をしていたとき、当時の校長、故・酒井真理子先生が提唱していた『休日の空き教室の有効利用』に賛同し、アマチュアとはいえ、オーケストラの立ち上げを後押ししたのは妻だった。東京という大都市には立派なオーケストラは数多くあるが、ヨーロッパの小さな街のように徒歩圏内の生活者たちが半数を占めるものはどれほどあるかと考え、家事、勉強、スポーツなどをする人たちが、その30分後にはオーケストラのリハーサルに参加している図を想像し、このような形態があってもいいのではないかと考えた。それにはできるだけのお膳立てが必要」と説明する。
「ここまで規模が大きくなり、実力をつけたオーケストラに成長することは、20年余前には想像できなかったこと。この素晴らしい『音楽』という、人々をつなぐツールによって、お客さまと奏者、お客さま同志が意思疎通を図る瞬間を楽しんでもらいたいと思い、鉄道好きとしても知られるドボルザークの汽車を模した楽曲も準備して、皆さんの来場をお待ちしている」と呼びかける。
本番の定期公演は11月14日だが、その前に、「しもたか音楽祭」(10月26日)でも曲のカット版を演奏する。
しもたかフィルは、世田谷区と杉並区にまたがる下高井戸で活動する地域密着型のアマチュアオーケストラ。同地域に暮らす東義直さん(ビオラ奏者)を指揮者、手島志保さん(バイオリン奏者)をプロデューサーとして2004(平成16)年に創立した。松沢小学校を練習場所として、「しもたか音楽祭」など地域の祭りや小学校のイベントに出演し、年末には商店街の会場で第九合唱付きを演奏するのが恒例となっている。
18時15分開場、19時開演。入場料は500円。全席自由。