高知を中心に活動する薬膳・和食研究家の百田美知さんが12月5日、高知のかんきつの魅力と食文化を伝えるイベント「高知の酢みかん祭り」を経堂駅北口の「さばのゆ」(世田谷区経堂2)で行った。
高知の酢みかんについてプレゼンする百田美知さん。手に持つのは獅子ユズ
百田さんは「高知は柚子の生産量日本一で約110種類のかんきつがあるかんきつ王国。実を食べるのではなく、果汁の酸味や果皮の香りを楽しむ『香酸かんきつ類』のことを高知では『酢みかん』と呼ぶ。酢飯には、穀物酢ではなくユズ、ダイダイ、直七などの酢みかんの絞り汁を使ってきた。郷土料理にも『ヒメイチとユズの皮の辛子煮』とユズを使ったものがある。他にも季節や食材により、さまざまな酢みかんを使い分けるなど高知独自の豊かな食文化について知っていただく機会を持ちたかった」と開催の経緯について話す。
イベントには生産者から提供された21種類のかんきつが登場。ユズ、実生ユズ、接木ユズ、種なしユズ、ハナユ、獅子ユズ、柚月、多田錦、ヘベス、直七、カラタチ(キコク)、モチユ(ブシュカン)、スダチ、タチバナ、仏手柑、カボス、土佐ベルガモット、青切り小夏、青ブラッドオレンジ、はれひめ、キンカンがカウンターに並べられ、参加者は、ビールやハイボール、ワイン、日本酒、ご飯に好みのかんきつを自由に絞り、味や香りの違いを楽しんだ。お酒を飲めない参加者が、ユズシロップをソーダ水で割って飲む姿も見られた。
ユズ入りの漬物、ドライかんきつ、レモン・ライム・ユズの果汁が入った豆腐「CITORUS TOFU CREAM」などの加工品などの試食コーナーもあった。
「経堂は高知県佐川町出身で『日本の植物学の父』と呼ばれる牧野富太郎博士が昭和10年代に暮らしていた土地。東京農業大学もあり高知と人のつながりもあり、高知の食材を意識的に取り入れ営業する飲食店も10軒以上。この縁を大切に経堂でのイベントを続けたい」とも。
イベント用のかんきつ類は近隣の10店舗にも配られ、各店のメニューに取り入れられた。