
東京農業大学「食と農」の博物館(世田谷区上用賀2)で4月25日、企画展「いきもの研究所の舞台裏」が始まった。
同展では、1974(昭和49)年に設立された進化生物学研究所(上用賀2)が50年以上かけて所蔵する資料の管理や保存、調査研究の様子など、研究所の舞台裏で日常的に行われているものの通常は見ることができない作業をそのまま展示し、「生物の証しをとどめる」ことの大切さを伝えるという。
展示内容は、同研究所所蔵の古生物資料等の写真撮影や3Dスキャン・プリントによる、実物資料とデジタルデータの比較展示、実物資料の保存作業として昆虫標本の作成や管理の工程展示、同研究所が警察から鑑定を依頼される押収品としての生物資料の展示などが含まれる。
同研究所の湯浅浩史理事長は「今回のような企画は日本にはなかったと思う。以前行ったチリのサンティアゴの博物館ではガラス越しに化石を岩から取り出すクリーニング作業を誰でも見ることができたが、そうした展示が日本でもあればいいと思っていた。ぜひ、舞台裏の一部を見てほしい」と呼びかける。
会期中、体験講座として小学生を対象とした「昆虫標本の作り方」(7月12日12時~14時30分、山口就平研究員)と「アンモナイトのレプリカを作ってみよう」(8月5日・6日の13時~15時、蒲生康重研究員)、対象を問わない「命の大切さと押収品のお話し」(2026年1月中旬、今木明研究員)も開催する。
今回の企画展をメインで担当した同研究所の蒲生康重さんは「展示を見てもらえれば分かるが、大きな化石が多いので、倉庫の中ではなく広いスペースでしっかりと画像を撮る機会が欲しかったというのが企画の出発点」と明かす。「これから1年近く続くが、2カ月ごとに展示物を変えて、興味のある人が何回も見に来てもらえるような展示にしたい」とも。
開館時間は9時30分~16時30分。日曜・月曜・祝日休館。入館無料。2026年3月28日まで。