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下高井戸シネマで大塚信一監督「横須賀綺譚」上映 ラーメン店で働き初の長編完成

映画「横須賀綺譚」ポスター  (c)shinichi otsuka.2020.横須賀綺譚

映画「横須賀綺譚」ポスター  (c)shinichi otsuka.2020.横須賀綺譚

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 京王線・下高井戸駅東口の下高井戸シネマ(世田谷区松原3、TEL 03-3328-1008)は9月19日から、映画「横須賀綺譚」(2019年、監督=大塚信一)を上映する。

桜上水のラーメン店「あぶら~亭」で働く監督の大塚信一さん

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 監督の大塚信一さんは下高井戸の日大文理学部哲学科を卒業。20代前半から映画監督・長谷川和彦さんに師事して映画の現場を経験するが、映画製作を生業にはせず、20年にわたり桜上水のラーメン店「あぶら~亭」で働きながらオリジナル作品の模索を続けた。同作品は初の長編となる。

 企画は当初、長崎出身の大塚さんによる「長崎に原爆は落ちていない」というテーマのSF、不条理劇だった。推敲(すいこう)するうちに「長崎=原爆」から「福島=震災」へとアイデアが移行してシナリオが仕上がった。主人公の春樹は、結婚目前だった知華子の父親が要介護になり故郷・福島に帰ることになったが、東京での仕事を選び別れてしまう。その後、東日本大震災が起き、彼女は海沿いの街で被災して亡くなったと聞く。しかし9年後のある日、真偽不明の生存情報を聞き、福島へ。そこで彼女が横須賀にいるかもしれないと知り、そのまま港から船に乗る。

 主人公・春樹役には「恋の罪」(2011年、園子温監督)、「こっぱみじん」(2013年、田尻裕司監督)「走れ、絶望に追いつかれない速さで」(2015年、中川龍太郎監督)などの小林竜樹さん。恋人の知華子は「終わってる」(2011年、今泉力哉監督)のしじみさん。その他、「シン・ゴジラ」(2016年、庵野秀明総監督、樋口真嗣監督)など幅広い作品に出演する川瀨陽太さん。ベテランの烏丸せつこさんも友情出演。演出補は『カメラを止めるな』の上田慎一郎さんが担当した。作品は2019年7月、カナザワ映画祭「期待の新人監督賞」に正式エントリーされ、初の上映が行われた。

 大塚監督は「リアリズムの要素もある奇妙な映画になったかと思う。飲食業は拘束時間が長く、同時に育児世代でもあるので、睡眠時間を削りながら5年かけて完成。1日48時間欲しいと思いながらの日々だった。『とにかく撮りたい』と働きながらインディーズで製作した作品だが、配給会社がついてくれたおかげで全国でのロードショーが決まった。新型コロナウイルスの影響が大変だが、一人でも多くの人に見てほしい」と製作から配給に至る経緯を話す。

「学生時代は下高井戸に住んでいたこともあり、下高井戸シネマは一番通ったミニシアターだと思う。ここで出会ったフィンランドのアキ・カウリスマキ監督の『レーニングラードカウボーイズ』『マッチ売り工場の少女』、旧ソ連のゲオルギー・ダネリヤ監督の『不思議惑星キン・ザ・ザ』、ギリシアのテオ・アンゲロプロス監督の『霧の中の風景』、イランのアッバス・キアロスタミ監督の『友だちのうちはどこ?』などは僕の映画財産。住宅街の中にある下高井戸シネマは、ブラリ一人旅感覚、サンダルで行く感じでフラッと非日常の中に入れるのが大好き。大好きな下高井戸シネマで自分の映画がかかるのに興奮している。学生時代の自分に教えてあげたいくらい」

「撮影や上映関係の仕事の際に休ませてくれる店と家族の理解があって何とか両立できているので感謝しかない。店の昼間は外国人のパートが多く働いているが、コロナ禍の大変な中、誰もがストレスを多く抱える時期に一度も妙な難癖や嫌がらせを受けたことがなく、桜上水は人が温かい街だし、うちの店は本当に良いお客さんに支えられていると思う」

 下高井戸シネマを応援する同店は、上映スケジュールの情報を店内で告知している。

 同館は、館内でのマスク着用の徹底、整列時に間隔を空ける、ブランケットの貸し出し休止、消毒液の設置、大声でのおしゃべりの禁止、上映作品の入れ替えごとに換気の実施、発熱や咳(せき)など体調不良の人の入館禁止など、観客とスタッフの感染症予防対策を徹底。座席も1席ずつの間隔を空けて全64席で運営している。

 同作品の上映は19時20分から。上映は9月25日まで。19日は小林竜樹さん、しじみさん、川瀬陽太さん、湯舟すぴかさん、大塚監督の舞台挨拶あり。その他の日も連日、大塚監督やゲストが登壇予定。

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