東京農業大学(世田谷区桜丘1)の客員研究員、玄成秀(げん・せいしゅう)さんが代表を務める「Agnavi」(神奈川県茅ヶ崎市)が7月8日、同大を舞台に描かれた人気漫画「もやしもん」とコラボした日本酒1合缶の販売を始めた。
玄さんは2020年2月、同社を設立。日本の生産者とグローバルな消費者を直接つなぐ情報プラットフォームを立ち上げ、持ち運びや保存に優れた缶詰入りの日本酒をプロデュースするなど、業界の活性化に取り組んでいる。
クラウドファンディング「CAMPFIRE」を利用して、「もやしもん」のイラストが描かれた缶に農大出身の酒蔵が醸した日本酒を詰めた缶を製造する同プロジェクトは昨年、1回目を実施し、準備していた1合缶1.7万缶を完売、1,113万円を調達した。今回は、これに続く第2弾。
「缶入り日本酒を考案したのは2年前。新型コロナウイルスの影響で飲食店の売り上げが低迷しイベントも中止になるなか、日本酒の消費量が減り、多くの酒蔵は厳しい状況になったのがきっかけ。自分の友人たちの実家の酒蔵が大変なことになっているリアルな情報に心を痛めた。リサイクル可能で環境に優しく、日本酒の大敵である紫外線を完全にカットでき、たるのままのような新鮮な状態で消費者に届けることができる缶詰に可能性があると思い、180ミリリットルの缶入り日本酒の普及活動『Ichi-Go-Can(いちごうかん)』を始めたが、いつか日本中の農学生のバイブルである『もやしもん』とコラボしたいと考えていた。昨年、作者の石川雅之先生と講談社にコラボをお願いしたところ協力いただけることになり、クラウドファンディングを行うことになった。今年は参加する酒蔵が増える形で再び世話になった」と経緯を話す。
昨年の第1回に参加したのは、松岡醸造(埼玉県小川町)のみだったが、今回は、天吹酒造(佐賀県みやき町)、三芳菊酒造(徳島県三好市)、鳴海醸造店(青森県黒石市)が加わり4蔵になった。
「一連のプロジェクトを通じて、これまで日本酒を飲まなかった人、飲んでみたかったけど手が出せなかった人が手に取るきっかけになれば。日本酒のイメージを覆す飲みきりサイズ、おしゃれ、持ち運び便利を実現した1合缶で、伝統的な日本酒に新たな風を吹き込みたい」と話す。
「缶入り日本酒は輸送時の積載効率が良く、軽く、割れにくく、保存性も高いため海外輸出にも向いており、ブラジル、シンガポールなどの小売店での取り扱いも始まっている。海外のグルメ市場も視野に入れながら、日本酒をあらゆる方法で盛り上げたい」とも。
クラウドファンディングは8月11日までを予定。