青森県八戸市南郷で「南風農園」を経営する水野浩司さんが7月4日、経堂駅北口のイベント酒場「さばのゆ」で八戸地域の伝統野菜「糠塚(ぬかづか)きゅうり」を紹介するイベントを開いた。
埼玉県出身の水野さんは20代にバックパッカー生活を体験。世界中を旅する中でも、オーストラリアの大自然に感動して「自然と共に暮らす人生」を目指すようになり、帰国後、茨城県の農業学校で農業を学び、11年前に八戸市に移住。主に有機栽培のニンジンを作っていたが、2015(平成27)年、江戸時代から八戸市の糠塚地区で作られていた伝統野菜の糠塚きゅうりも作り始めた。
水野さんは「糠塚きゅうりは、皮が厚くて、薄緑色に白いしま模様があるのが特徴。ゴツゴツした印象とは違い、切ってみると果肉はメロンを思わせるほど繊細で、 シャキシャキ感と独特の苦みが夏の暑い時期にピッタリ。シンプルにみそをつけて食べるのもおいしいが、フレンチやカレー、創作料理に使いたいという引き合いが、地元以外に、首都圏のレストランからも増えている。経堂は、雑誌などに良く登場するカレーの店『ガラムマサラ』が昨年から使ってくれている。今回は、経堂の皆さんに、もっと糠塚きゅうりの魅力を知ってほしいと思いイベントを開いた」と経緯を話す。
イベントでは、スライスした糠塚きゅうりのピリ辛ラー油添えや、フランス料理のラタトゥーユなどで提供。地元の飲食店主や東京農大関係者などの参加者が、ビールや日本酒、ワインなどのアルコールドリンクとのマリアージュを楽しんだ。水野さんは、移住して暮らす八戸の魅力を語り、オーストラリアの先住民の楽器ディジュリドゥの演奏も行い、会場を沸かせた。
「参加者に糠塚きゅうりのおいしさを知ってもらえたのが良かった。お店で提供している八戸の日本酒『陸奥八仙』を飲んで、『また八戸に行きたい』と言われたのもうれしかった。今回のイベントを通じて、スペイン風の夏のスープ、ガスパチョに使いたいというビストロや、糠塚きゅうりに興味を持つ経堂の飲食店が増えてきている。八戸伝統の味覚を一人でも多くの人に味わってほしい」とも。