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木の屋石巻水産、経堂で缶詰の試食イベント サバの不漁乗り越えて

木の屋石巻水産の鈴木誠さんと

木の屋石巻水産の鈴木誠さんと

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 宮城県の水産加工会社・木の屋石巻水産(宮城県石巻市)が6月28日、経堂駅北口のカフェ「さばのゆ」(世田谷区経堂2)で缶詰の試食とトークのイベントを行った。

新商品の説明をする木の屋石巻水産の鈴木誠さん

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 今年で創業66年を迎える同社は、創業時からクジラの大和煮缶を製造。2000年代は、石巻のブランドサバ、金華サバの缶詰などが売れ筋となった。

 2011(平成23)年3月11日に起きた東日本大震災の津波被害により海岸から150メートルの場所にあった本社・工場は壊滅。しかし、震災前から同社の缶詰を仕入れてメニュー化する飲食店が多かった世田谷区経堂の個人飲食店関係者が、支援物資を集めてトラックなどで石巻に運び、物資を避難所などに届けた後、同社の工場跡地に埋まっていた泥まみれの缶詰を経堂に持ち帰り、さばのゆや陶芸教室「まだん陶房」の前で洗って義援金と交換する活動を開始。

 一連の様子は、東京発のメディアで取り上げられたり、SNSでも拡散されたりして全国的に知られるようになった。4月末からは石巻でも缶詰を洗うことが可能になり、全国から注文が集まり、同年中に20万缶以上の缶詰が義援金と交換され、2013(平成25)年の工場再建、2015(平成27)年の売り上げ回復に至る同社復興のきっかけとなった。

 同社営業の鈴木誠さんは「コロナがやっと5類になり、試食を伴うイベントを再びできるようになったが、昨年秋から冬にかけて、三陸沿岸のサバ漁が記録的な不漁となってしまい、思うようにサバ缶の製造ができなくなってしまった。しかし、そんな状況に負けてはいられないので、新しく商品化したクジラのハンバーグ缶や和牛のスネ肉煮缶などの缶詰の味をより多くの人に知っていただこうとイベントを開いた」と経緯を話す。

 今回試食を行った商品は、夏の定置網で獲れるマサバを使った新商品「サラダサバ(まろやか醤油味)」、「サラダサバ(こくうま味噌味)」、「山形牛すね肉和風煮込み」、鯨肉100%の「イタリアンバーグ」など。

 「参加者には震災後に缶詰洗いのボランティアをしてくれた人もいて、変わらず応援してくれるのがありがたい。試食のリアクションは、たくさんの『おいしい』を頂けて良かった。経堂は、朝日屋酒店(赤堤1)、イベント会場となったさばのゆなど、弊社の缶詰を取り扱う店がある。サバの不漁は痛手だが、人のつながりを大切にしながら、前向きにおいしい商品を届け続けたい」とも。

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