イラストによる図解で、酒、パン、チーズやヨーグルトなどの乳製品、茶、コーヒー、しょうゆやみそなどの調味料、チョコレートなど、世界中の発酵食品について網羅した書籍「発酵はおいしい!」(パイ インターナショナル)の出版記念イベントが1月11日、経堂駅北口の「さばのゆ」(世田谷区経堂2)で行われた。
左から麹料理研究家おのみささん、「ferment books」のワダヨシさんと和田侑子さん
著者は、発酵や食の本を中心に手がけるマイクロ出版社「ferment books」のワダヨシさんと和田侑子さん、麹料理研究家おのみささんの3人。
同書は、経堂にある東京農業大学の名誉教授で日本の発酵学の第一人者・小泉武夫さんの発酵の定義の説明に始まり、「世界の発酵食品」「日本の発酵食品」「麹は宝物」「発酵の仕事場拝見」「発酵世界年表」「つくろう!発酵食品と発酵料理」「発酵ブックガイド」の7つの章から成る。イラストや図表を適切に使い、パン生地の発酵メカニズムや世界66種類のパン、チーズの分類と微生物の関係、アルコール発生の仕組みと世界の酒、ハムやソーセージなど肉の製品、かつお節、くさや、なれずしなど魚の製品、しょうゆやみそなどの調味料、漬物、世界の納豆など、あらゆる発酵食品を製法から解説。麹(こうじ)の作り方、みそやクラフトビール、ワイン、ナンプラーなどの製造現場、ロシアのウラジオストクの発酵食品のルポも収録。
おのさんは「よく『音楽に国境はない』と言うけれど、発酵食品の世界も同じで『菌に国境はない』。この本を通じて、世界の発酵食品を身近に感じて、毎日の暮らしに取り入れてほしい」と話す。
当日は24人が参加。同書に収録された長野県木曽地方の発酵食品「すんき」、高知県の「碁石茶」、山梨県甲府市の「五味醤油」、同県小管村に醸造所を持つクラフトビール「FAR YEAST BREWING」など、発酵食品の生産現場の写真をモニターに映しながらミニ講演が行われた。
親睦会では「塩麹漬け茹(ゆ)で卵」中華の漬物「大根の泡菜」、「酸白菜+豚バラ肉を煮たもの」、「カニカマとメンマの塩麹和え」「みそキャベツ」などの料理がビッフェスタイルで提供され、思い思いの酒を手にした参加者は発酵メニューとのマリアージュを楽しんだ。みそを提供した「五味醤油」からは、さらにみそとみそかりんとうが土産として参加者に手渡された。
「イベントでは、イラストでは伝わらない現場の生々しさみたいなもの、発酵食品を作っている人の笑顔や苦労を伝えられて良かった」とワダさん。
「また機会があれば、読者に発酵の魅力と仕組みがリアルに伝わるイベントをしてみたい」とも。