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経堂・焼き鳥と釜飯の店「鳥へい」名物店主が76歳に 店は38周年 

76歳の誕生日を迎えた店主の長谷川一平さん

76歳の誕生日を迎えた店主の長谷川一平さん

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 経堂西通り商店会の焼き鳥と釜飯の店「鳥へい」(世田谷区経堂3、TEL 03-3439-3822)店主の長谷川一平さんが11月7日で76歳を迎えた。店は先月10月3日で38周年を迎えた。

焼き鳥。上から軟骨、ささみワサビ、正肉

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 1946(昭和21)年生まれの長谷川さんは仙台の大学を卒業後、昭和40年代半ばから東京の大手アパレルメーカーに勤務。紳士服の営業を担当していたが脱サラ。1984(昭和59)年、同店を開いた。

 長谷川さんは「コロナも大変だが、昭和50年代もオイルショックの影響が深刻だった。ノルマが大変なうえに、口下手で不器用だったので営業成績が悪く、上司に怒られてばかりのサラリーマンだった。いつも桜上水のアパートに帰るのは深夜。近所の居酒屋で焼き鳥とビールで愚痴や暗い話ばかりしていたら大将にいさめられ、大将が修業した銀座の焼き鳥と釜飯の老舗を紹介してもらった。30歳を過ぎていたが思い切って転職。修業は厳しかったが、職人仕事が向いていると感じた。仕事を覚えて独立。初めは若者の街・下北沢に出したかったが家賃が高く、経堂で店を開くことにした」と振り返る。

 長谷川さんは21年前、55歳の時に太極拳を学び始め、2014(平成26)年には本場・中国の安徽省池州市で開催される「世界伝統武術フェスティバル」にシニア枠で出場した経験も持つ。 

 「50代になって体を動かし始めたから、70代半ば、後期高齢者になった今も現役でやれていると思う。思えばバブル崩壊の後、数年は本当に大変で、経堂かいわいにあった高級店は激減した。2000年代以降も、増税やリーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、戦争など、ビジネスを巡る環境は数年に一度、大変なことになる。生き残ってこられたのは、90年代の後半あたりから、自分より20歳、30歳も年下の人たちの交流を始めたからだと思う。2000年ごろに始まった経堂の地域を盛り上げる有志の活動『経堂系ドットコム』の皆さんとは、うちの店を使っていろいろなイベントをした。飲食店をやってみたい若者に定休日の店を貸したり、2階の座敷で茶道教室やフォークライブを開いたり…いろいろするうちに若い人たち同士の横のつながりが生まれる店になり、今に至っている。俺が落ちこぼれ出身で、年上だからと偉そうにしないのも良いのかもしれない」

 長谷川さんは、常連の若い客に教えてもらいながらSNSを操り、今はインスタグラムにも挑戦している。

「激動の世の中で何かと不安になりがちだけど、だからリアルなつながりを求めて、値段も安いし、来てくれているのかもしれない。体力は年々落ちてきているが、必要とされているうちは、自分の孫くらいの若者相手にでも馬鹿話をしながら焼き鳥と釜飯を作っていきたい」とも。

 営業時間は13時~23時。水曜・木曜定休。テイクアウトにも対応。

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