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経堂の焼きとん酒場「きはち」が17周年 全国の生産者さんとのつながりを大切に

店主の八十島(やそしま)翔さん(左)、父・秀樹さん(中央)、母・恵理さん(右)

店主の八十島(やそしま)翔さん(左)、父・秀樹さん(中央)、母・恵理さん(右)

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 経堂駅北口にある家族経営の焼きとん酒場「きはち」(世田谷区経堂2、TEL 03-3429-8121)が11月5日で17周年を迎えた。

高知産のニラを四万十ポークのバラ肉で巻いた串を銀象ソルトで仕上げる八十島さん

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 店主の八十島(やそしま)翔さんは祖師谷生まれ。幼少期から父・秀樹さんに連れられて経堂かいわいの飲食店になじみ、70年代から生協活動の運営に関わる母・恵理さんを通じて全国の良質な食材に親しんだ。21歳で両親と一緒に同店を立ち上げ、昨年2月、個人事業の代表の役割を秀樹さんから受け継いだ。

 翔さんは「代替わりしてすぐコロナになり、売り上げに大きな影響が出て、今年は禁酒令の時期も長く、厳しかった。10月になり、ようやくお酒を出せるようになり、ホッとしている。感染防止のためにテーブルは2人まで、大声や咳(せき)エチケットなどに気をつけながらの飲んでくださるお客さんには感謝している。最近、20~30代のカップルや女性のひとり飲みも増えていて、日本酒が出るようになっている。地方の酒造メーカーも大変と聞くので、酒に合う串やつまみを用意して、生産者にお金を回せれば」と話す。

 ドリンクは、生ビール中(550円)、ホッピー(480円)、レモンサワー、緑茶割り(以上500円)のほか、日本酒、焼酎、国産ワイン(以上500円台~)。瀬戸内の岩城島直送のレモンを使ったサワー(500円)など、産直のかんきつ類を使ったドリンクも提供する。ソフトドリンクは、温州みかんジュース、山形県寒河江市のりんごジュースなど地方産の100%ジュース(280円)を用意。20代のころから東京農大醸造学科出身者の友人が多かった翔さんがセレクトする日本酒は、長野県の「大雪渓」をはじめ十数種類。

 フードの基本は翔さんが担当する焼きとんの炭火串焼き。定番のシロ、ハツ、レバー、カシラなどは140円から提供。トマト豚バラ巻き、エノキ豚バラ巻き(以上280円)など、野菜を豚バラで巻いたメニュー、野菜串も季節ごとに変化。和牛や地鶏の仕入れも行い30種前後を用意する。

 秀樹さんはつまみ担当。刺し身、煮付け、南蛮漬けなど魚介類は地元の老舗鮮魚店「魚真」から仕入れる。宮城県の木の屋石巻水産の金華サバ水煮缶を誓った「サバ水煮缶のピリ辛野菜和え」(550円)は東日本大震災前からのメニュー。〆のご飯ものとして、ホタテやカニカマを使った雑炊、スパイスカレーなどもある。

 全国各地の食材は山形県酒田市・平田牧場の「三元豚」、鶏は山口県秋川牧園「はりま」、ちくわは青森県青森市の「丸石沼田商店」、青森県田子町の「みやむー」のニンニク、ショウガは高知県いの町「水田農園」の「かおり生姜(しょうが)」、かんきつは広島や高知から、キノコは長野県中野市から、野菜も高知県産のピーマンなどを使い、全国の生産者とつながる。緑茶割に使う有機栽培の茶葉や原木シイタケは、農大OBの常連の同級生が奈良の月ヶ瀬で営む「月ヶ瀬健康茶園」のもの。

 「先日、食材を探すために高知に行った。土佐市では塩杜氏の田野屋銀象さんが太陽光だけで作る天日塩に出合い、使ってみたら、素材の味を引き立てる実に良い塩だった。土佐山田では物部町の農家、佐竹美保さんに青パパイヤ、ユズなどの話を聞いた。まだまだ油断できないが、一日の疲れを癒やす酒場は大切。充分に気をつけながら、新しいつながりを生かして、おいしいものを出し続けたい」とも。

 営業時間は17時~23時。火曜と祝日の月曜は定休。マスク着用、アルコール除菌、換気などを徹底して営業している。

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