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世田谷文学館で「ヨシタケシンスケ展かもしれない」 小さなスケッチ2000枚も

ポケットサイズのスケッチの展示コーナーの前に立つヨシタケシンスケさん。4月8日、報道関係者向けの内覧会にて

ポケットサイズのスケッチの展示コーナーの前に立つヨシタケシンスケさん。4月8日、報道関係者向けの内覧会にて

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 イラストレーターで人気絵本作家でもあるヨシタケシンスケさんの、絵本の世界に遊び、話題作の原画を見ることができるユニークな展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」が4月9日、世田谷文学館(世田谷区南烏山1)で始まった。

絵本「このあと どうしちゃおう」に描かれた世界をもとにした体験展示コーナー

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 ヨシタケさんの2013(平成25)年のデビュー作「りんごかもしれない」は、ありそうでなかった絵本だ。リンゴに見えるものの中にぎっしりメカが詰まっていたり、リンゴに見えたものが何かの卵で、そこから手足が出て生き物が生まれるなど、発想や妄想がどんどん飛躍していく面白さがある。

 ヨシタケさんはこの一冊で「第61回産経児童出版文化賞」美術賞、「第6回MOE絵本屋さん大賞2013年」1位などを獲得し、激戦区の絵本の世界で一躍人気作家に躍り出る。その後も、鼻をほじったり爪をかんだりする「ぼく」のクセには全て理由があるという「りゆうがあります」、死んだおじいちゃんが遺したノートから「ぼく」が死後の世界に思いを巡らす「このあと どうしちゃおう」など、空想、屁理屈(へりくつ)、妄想、哲学を、明るい画風とユーモアあふれる軽妙な文章で描いた意欲作を次々に生み出している。

 ヨシタケさんはイラストレーターとしても活躍してきた人で、描き方も独特。絵本の原画は実物よりずいぶん小さく、着色もされていない。この原画を拡大し、デザイナーが色をつけて絵本に仕上げている

 見どころは、発想の元になった小さなスケッチの展示。常に持ち歩いている手帳は、誰かに見られたときにすぐに隠せるポケットサイズのもの。そこに果てしない妄想やアイデア、世界の見え方が詰まっている。約13×8センチの小さな紙片約2000枚(複製)を、天井から床面までの壁にズラリと並べ、作家の「頭の中」をのぞいたような気分になる工夫を施す。

 「親に連れられて行った展覧会で、退屈することが多かった」というヨシタケさんの希望もあり、展示はバラエティーに富んでいる。学生時代に制作したカブリモノシリーズなどの立体作品もあれば、体と心を動かして絵本の世界に遊ぶことができる体験展示コーナーもある。そこには、笑ったり驚いたりしながら、この特別な空間を楽しんでほしいという願いが込められている。

 絵本の原画は、最終コーナーでひとまとめにして展示。着色されていない線画で、サイズは実際の絵本よりも一回りも二回りも小さい。

 開館時間は10時~18時。月曜休館。観覧料は一般1,000円ほか。7月3日まで。混雑時は入場制限あり。日時指定券の購入を推奨。

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