今年、創立135周年を迎えた東京農業大学。世田谷キャンパスの学園祭「収穫祭」には、経堂エリアの住民をはじめ、遠方からも多くの人が訪れ、例年約8万人が来場します。学生たちは模擬店や文化学術展の準備を進めています。この特集では、その中から経堂経済新聞が注目した企画を紹介します。

「ミツバチ研究会」(以下、ミツ研)
大学施設屋上でセイヨウミツバチによる都市型養蜂に挑戦し昨年、「屋上蜜」の採蜜に成功。外部の養蜂場でも実習体験をしながら、ミツバチの生態や養蜂について研究している同好会。会員は70~80人程度。養蜂を通じた地域貢献等、やりたいことにチャレンジする団体。
【お話を聞いた人】
岩崎友哉さん(「ミツバチ研究会」会長/分子微生物学科3年)
岩本拓己さん(「ミツバチ研究会」元屋上係リーダー/分子微生物学科4年)
収穫祭で毎年、長蛇の列ができる人気の蜂蜜。もっとよく知り、よりおいしくいただくため、蜜の秘密と、普段の活動について話を伺いました。
世田谷産の蜂蜜、「屋上蜜」採蜜に成功!
ミツバチについてSNS等で積極的に情報発信を行っている岩本さんは、ミツ研の誇る「屋上蜜」採蜜の立役者。学生ながら湯河原の実家に養蜂場(岩本養蜂園)を立ち上げ、自ら蜂蜜をつくって販売しています。
その経験や知識をミツ研に持ち込み、以前は収穫できていなかった世田谷産蜂蜜の採蜜に成功。昨年から収穫祭で販売しています。

世田谷産の屋上蜜(画像提供=同団体)
ミツ研が「屋上蜜」と呼んでいるのは大学施設の屋上に設置した巣箱で養蜂した、完全に農大生の手によりつくられた世田谷産の蜂蜜のことで、今年も4月~8月の期間、5回に分けて採蜜されました。
かつて収穫祭で熾烈(しれつ)な争奪戦が繰り広げられていたミツ研の蜂蜜。岩本さんは「昨年ぐらいから多くの皆さんの手に渡るようになってきた。ミツ研の蜂蜜のおいしさをもっといろいろな人に知ってもらいたい」と話す。

ミツ研のパーカ裏には大学から見えるランドスケープと屋上の巣箱(デザインは小山佳蓮さん)(画像提供=同団体)
ミツ研が養蜂しているセイヨウミツバチには「訪花の一定性」という性質があり、同じ種類の花に集まって蜜を集める性質があるという。例えば4月はサクラ、5月は藤、5月末ごろになるとアカシア、ミカンというように。その土地の植生により集められる主蜜源が異なるため、採蜜の場所や時期により味や香りが変わるという。そうして主蜜源の名前を冠したものを「単花蜜」として収穫祭でも販売する。

キャンパス内で調査する岩本さん(画像提供=はるか @fjhr_0320)
一方、世田谷産の蜂蜜はどの花の蜜で構成されているのか特定することが難しいという。都内は道路の街路樹等、いろいろな花があって混ざってしまう。特に5~7月は多種多様な花が咲いている。そうしてできた蜂蜜(百花蜜)は「あまりクセが強くなくおいしい。山の中には絶対に咲いていないような花も植えられていたりするとその風味も出て楽しめる」という魅力もあるそう。山でしか採れない蜜と都会でしか採れない蜜があり、その違いを楽しむこともできる。

採蜜時期の図(同団体監修)

蜜蜜の雨(画像提供=同団体)
とても苦労して集められた蜜も・・・ミツ研おススメの「単花蜜3選」
収穫祭では今回、17種類の蜂蜜の販売を予定。岩本さんが湯河原で採った蜜(さくら・みかん・アカメガシワ・カラスザンショウ)、世田谷産の屋上蜜(4~8月の百花蜜5種)、実習先の箱根・海老名・稲城・飯能で採れた蜜(栗・アカシア・藤・マロニエ・カキ・ヤマボウシ・ウツギ・タマツバキ)の3カテゴリーに大きく分かれています。
とはいえ一般人には味や香りにどのような違いがあるのかなかなか分かりません。実際にサクラやミカン、栗等、想像しやすい味が人気で、ヤマボウシやタマツバキ、ウツギなど、パッと知られていない味は人気が劣る印象だそうです。
そこでミツ研が選ぶお薦めの単花蜜3選を挙げてもらいました(画像は全て同団体からの提供)。
1位:カラスザンショウ

8月末に採れる蜜で、ミツバチが最大まで増えた時期にたくさん蜜が採れる花が咲くため毎週20~30キロ程度の量をミツバチが集めてくれる。果実の様な甘さの中にほろ苦さがあり、少しピリッとする。ミカン科なのでかんきつっぽい香りも楽しめる。個性的で大人っぽい味わいが楽しめる点がポイント。今年は雨の影響で収穫が2週間程度遅れたため、例年と違う味わいになっている可能性があり、マスカットのような香りがするとか。
お勧めの食べ方:コーヒー、チーズ、トーストに合わせて
2位:みかん

5、6月のカラッと晴れている時期に採れる蜜で、糖度が高くとてもねっとりしている。ほんのりかんきつの香りがして、さっぱり後味爽やかな蜂蜜。湯河原の名産ミカン。ミカンはいろいろな品種のミカンの花から蜜が集められるので土地ごとに味わいが異なる。そのためここでしか味わえない湯河原のミカン蜂蜜に仕上がっているのだという。
お勧めの食べ方:ヨーグルト、フレンチトースト、バニラアイスに合わせて
3位:アカシア

色がとても明るく、有名な5月の蜂蜜。いっぱい蜜が取れる花なのですが、ミツバチが過労になり寿命が縮んでしまうくらい蜜を集めてくれる。ミツバチの寿命は平均して40日とか5週間と言われていますが、アカシアの咲く時期はミツバチの寿命が30日とか4週間。1週間くらい短くなってしまうという。ミツバチがとても苦労して集めたありがたい蜜です。
お勧めの食べ方:紅茶、ハーブティーに合わせて
伝えたい。ミツバチのかわいらしさ
例年、ミツ研は卒業生の養蜂場での実習や、大学施設屋上で養蜂に挑戦することを軸に活動してきましたが、今年8月に採蜜体験ができるイベントを地域の皆さんが参加できる形で開催しました。特に告知に力を入れていなかったが、2日間に分けて70組分用意した枠は予約開始後すぐに埋まってしまう人気ぶりでした。
ミツ研会長の岩崎さんはもともと虫を苦手としていましたが「ミツ研に入会して養蜂に取り組んでいるうちに、ミツバチのかわいらしさに気が付いた」と言い、ミツバチのかわいらしさを採蜜体験を通じて知ってほしいと考え開催に踏み切ったと言います。

(画像提供=同団体)
最後に、収穫祭に向けて販売される蜂蜜の単花蜜についてミツ研監修の図を用意しました。ぜひ、ミツ研の黄色いパーカを着た会員に出会ったら、ミツバチのかわいさや蜂蜜の味について、たくさん聞いてみてください。

(画像提供=同団体)

味・香り別単花蜜の図(同団体監修)
収穫祭は10月30日~11月1日、東京農業大学世田谷キャンパス(世田谷区桜丘1)で開催。開催時間は9時~17時。